訪日観光客による売上増が期待できる“インバウンド銘柄”で利益を出せた取引を振り返る。反省も。
ラオックス(8202)
2014年頃、インバウンドをテーマにしたセミナーで羅怡文社長(当時)の講演を聞いた。
秋葉原の店舗で、十万円以上の南部鉄器があっさり売れることを例に、日本の魅力的な商品を中国の友人たちが欲している、もっと多くの人が来たがっていると熱意を込めて語っていた。
株価を調べると低迷中、ダメもとで購入すると7倍ほどに値上がりした。株価が下げ始めた頃、旅先の新店舗がガラガラなのを見て利益確定。一回の成功で”インバウンドは美味しい”と印象づけられた。
二匹目のどじょうを狙い東京五輪前の2019年に280円で購入。ただインバウンドはもはや当たり前で老舗デパートが競争相手になっていた。折しもコロナが始まり赤字決算で株価も半減、180円で損切り。
トータルではプラスだが、2回目は失敗だった。業界での位置付けを確認しておくべきだったと反省。2023年1月時点で230円前後と少し回復している。
ANA(9202)
コロナ前は3,500円を超えていた。移動制限の影響をもろに受けた会社で、株価の回復も遅れていた。
2022年1月にコロナも収束に向かうだろうという期待から2,410円で購入。順調に値上がりしていたが、2,666円で売却ラインを割り、益出しとなった。
その後も上昇傾向にあり、2023年1月23日終値が2,872円だ。注目されている銘柄だけに値動きも大きかった。売却ラインを狭く設定しすぎたのが反省点だ。
H2Oリテイリング(8242)
H2Oリテイングを810円で購入した。
「コロナが終息し観光客の訪日が再開すればの受け入れ急上昇するだろう、株価は、過去10年のチャートで平均以下=下がっても半額までいかないだろう」とざっくりした購入理由。
売却は一応チャートを見て設定した売却ラインをわり1,058円で益出しした。
その後、2023年1月23日終値が1,254円まで上がっている。ANAと同様に売却ラインを狭く設定しすぎた。
力の源HD(3561)
国内外でラーメン一風堂を展開
力の源ホールディングスは一風堂を主力ブランドとして国内外で展開する。「印旛うどん」などのブランドと合わせて、日本国内に142店舗、海外15カ国に136店舗を構える。
アメリカに12店舗、中国28店舗、台湾15店舗、タイ19店舗、フィリピン11店舗、シンガポール11店舗、マレーシア10店舗、イギリス4店舗、フランス3店舗など。
ニューヨークのIPPUDO NYでは「赤丸新味」が一杯19ドル、現在の円換算で2,500円以上だ。日本の倍以上の価格でも大人気、2008年の初出店から4店舗まで増えている。
フィリピンの「赤丸新味」は410ペソで約1,000円、日本とほぼ同等だが現地では高価格帯だ。人気エリアBGCの店舗はいつも混み合っている。

オーストラリアのシドニーでは8月に5店目が開店した。オペラハウスを望む人気エリアだ。
競争の厳しい日本で磨かれたラーメンを、メインディッシュとして現地の相場に合わせて高価格帯で提供している。店内飲食以外に持ち帰り、宅配、調理用の外販も行なう。
異業種のユニクロは国内812店舗、海外は24カ国1,560店舗に展開している。アメリア、中韓、台湾、フィリピン、タイ、インドネシア、マレーシアなど。高品質の日本製品が受け入れられている。
力の源ホールディングスも日本を代表する飲食チェーンとして食の世界のユニクロになって欲しいと期待している。
業績と復配の可能性
過去3期の業績と配当は以下のとおり。
売上 | 営業利益 | 配当 | |
2020年3月期 | 291億円(過去最高) | 7.0億円 | 4円 |
2021年3月期 | 165億円 | -9.8億円(赤字) | 無配 |
2022年3月期 | 194億円 | 10.5億円 | 無配 |
2023年3月期の会社予想は2Q決算時に上方修正された。売上245億円、営業利益17.1億円と増収増益、配当は未定。2Q決算で売上119億円、営業利益8.0億円と計画を上回っている。
まだ復配の情報はないが、個人的に2Q決算において、利益剰余金が3.7億円のマイナスから3.3億円のプラスに改善していることに着目した。
配当支払いは利益剰余金の一部である利益準備金があることが必須条件だ。会計上は復配の条件を一つ満たしたのではと考えられる。
取引記録
株価は2017年11月の2,700円が最高値で、2018年12月に630円まで下落、2020年1月に1,190円まで回復した後、コロナが始まり2020年4月に最安値の454円をつけた。
2022年3月期決算後の6月にコロナ後高値786円をつけたが、8月23日時点で659円だ。PERは19.3倍、PBRは3.9倍。まだ上がると思っていたが、9月に売却ラインを割った。
時期 | 取引内容 | 理由 |
2022年1月 | 580円で購入 | 2022年中の入国制限撤廃を期待し、インバウンド銘柄として着目、海外積極展開も魅力だった |
2022/9/26 | 812円で購入 | 9/12の年初来高値799円を更新 |
2022/9/27 | 前日購入分を799円で売却 | 逆指値の売り注文を執行 |
2022/9/28 | 1月購入分を754円で益出し | 逆指値の売り注文を執行 |
2023年1月23日終値が996円だ。結果的に益出しが早すぎた。
【まとめ】
まず、文中のインバウンド銘柄は、決算数値や財務内容を分析せず、気分だけで売買していたのは反省点。全体として益出しが早すぎた。
流行りや産業構造の変化など定性的な情報も必要だと思う。しいて言えば、インバウンドというテーマにそっていたので何もないよりは良かった。結果的にトータルではプラスとなった。
ただ、景気後退局面では、数字に基づく意思決定がより重要になりそうだ。
もう一つ、売買の根拠をメモっておくべきだったと痛感した。それを元に反省があり、自分の売買ロジックの精度を上げられる。ブログを書くことで記録を残したい。
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