レノバの事業
レノバ(9519)は再生可能エネルギーによる発電施設の開発と、電力会社への売電を行う。
レノバが2022年9月時点で国内でもつ発電能力は太陽光発電が353.6MW、バイオマス発電が95.5MWである。下期に地熱発電が2MW加わる計画だ。
売電量の実績は4-7月の各月で75GWh〜100GWhと計画を上回って推移している。
海外でも発電施設の開発を進める。ベトナムでPower Construction Joint Stock Company No.1他との合弁事業に40%を出資、48MWの陸上風力発電設備を3基146MW分稼働中だ。
フィリピンでは再生エネルギー発電会社Altenergy Holdings Corporation他との合弁事業に40%出資し水力発電を進めている。ルソン北部の山岳地帯にあり17.4MWの発電量が期待されます。
国内発電事業の規模
ここで国内発電事業の市場規模を知りたい。
まず発電能力の単位はW、発電量の単位はWhとなる。桁の略称は1,000(千)であれば”K”(キロ)、1,000,000(百万)であれば”M”(メガ)、1,000,000,000(十億)であれば”G”(ギガ)となる。
資源エネルギー庁によると2020年の日本の年間発電量が10,008億kWhだ。
うち天然ガスが3,899億kWh、石炭が3,102億kWh、太陽光が791億kWh、水力が784億kWh、石油等が636億kWh、原子力が388億kWh、バイオマスが288億kWh、風力が90億kWh、地熱が30億kWhだ。
エネルギー源ごとに区分すると、化石燃料(ガス、石炭、石油)が7,636億kWh、原子力が388億kWh、再生可能エネルギー(太陽光、水、バイオマス、風、地熱)が1,983億kWhだ。
レノバの発電量が月100GWhとすると年間で1,200GWh、すなわち12億kWhとなります。上記資源エネルギー庁のデータと照らすと再生可能エネルギーのおよそ1%のシェアを占めていると言える。
政府がカーボンニュートラルを推進すると、化石燃料発電を代替する必要がある。原子力発電も代替策の一つだがいくつかの理由で確実といえない。
まず、大震災前2010年の発電量は合計11,494億kWh、内訳は天然ガスが3,339億kWh、石炭が3,199億kWh、太陽光が35億kWh、水力が838億kWh、石油等が983億kWh、原子力が2,882億kWh、バイオマスが152億kWh、風力が40億kWh、地熱が26億kWhだった。
エネルギー源ごとに区分すると、化石燃料(ガス、石炭、石油)が7,521億kWh、原子力が2,882億kWh、再生可能エネルギー(太陽光、水、バイオマス、風、地熱)が1,091億kWhである。
つまり原子力が震災前の水準に戻っても、現在の化石燃料発電7,636億kWhを全て代替するには不十分だ。また停止している発電所の復旧の技術的な困難や政治的な困難も予想される。
原子力発電の行く末にかかわらず、再生可能エネルギー発電の市場は拡大が予想される。
直近の業績と株価
2022年3月期の売上は292億円、営業利益は8.7億円だった。2023年3月期の2023年1Q時点の会社予想は売上355億円、87億円の見込みである。
株価は2021年9月に最高値6,930円をつけたが、その後洋上風力発電事業の失注を受けて2021年12月に2,000円台に急落した。2022年2月に直近の最安値1,271円をつけた後は回復中である。
取引の経緯
購入(2022/2)
株価が1,600円台まで回復していた2022年3月に以下の理由で購入した。
- 原子力は安全面、化石燃料は炭素排出から持続性に懸念。再生可能エネルギーには将来性。
- 海外展開もしている。
- 上がり始めているが1,600円はまだ安値圏といえる。
- いずれ売上が拡大し株価も回復することが期待できる
大半を売却:1Q決算前(2022/8/8)
電力不足から原発再稼働が本格化した場合レノバの成長は鈍化すると懸念した。十分上昇したと思い込んで8月8日の1Q決算発表前に一部を残して2,504円で利益確定した。
実際には1Q決算は対前期比増収増益、株価も200円ほど値上がりした。購入時の理由が失われた訳ではないのに、目先の利益に目がくらんで早すぎる益出しとなった。
一部は残したので少しは救われたが失敗だった。クリーンエナジーによる発電を推進する大義ある事業なので揺るがずに持っておくべきだった。
様子見:新型原子炉についての報道 (2022/8/27)
8/24に政府が新型原子炉の開発を検討すると発表。資源価格の高騰とカーボンニュートラルの観点から、現在の化石燃料主体の発電は永続できないということのようだ。
だからといって直近で原発に急速にシフトするわけではない。再生可能エネルギーの重要性は続くと考えられる。
8/26の終値が2,837円と、株価は引き続き上昇した。残りの株は保有継続と判断した。
全て売却し様子見:下降トレンドと判断(2022/9/20)
順調に上昇を続け9/13に3,865円をつけた後、売買高を減らしながら続落した。下降トレンドに転じたと判断して、3,555円で保有分を全て売却し様子見することとした。
まとめ
今後成長が期待できる再生可能エネルギー発電専門の開発会社である。化石燃料を代替すると考えると市場拡大の余地は大きい。
一旦、株価が高値圏であると判断した。しばらく様子を見て、株価と将来性のバランスが見合ってきたと感じたら再度保有したい。
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