2022年は円安が進み、私たちの消費生活は厳しくなった。2023年に入り円高に戻っているものの、個人的には、生活を良くするために円預金以外に資産も持つべきとの思いを強めている。
経験上、銀行預金から株式投資に一歩踏み出すと色々な資産形成の可能性が見えてくる。オンライン証券口座開設がその一歩だ。もう少し具体的に、株式投資のメリットとデメリットについて書きたい。
メリット1:資産を守り増やす手段を持てる
日本円の給与から生活費を払い、余裕資金を銀行に残すと円預金になる。
世界中で日本だけが金融緩和を続けていることにより、円の価値は円以外に対して下落している。また赤字国債の日銀引受が続いていることにより円の信任の低下も懸念される。
円預金の残高は残ったとしても、円の価値が下がればiPhoneの値段が上がったり、海外旅行の費用が増大したり、将来買える物やできることが減ってしまう。
株式、不動産、外貨、貴金属、仮想通貨のように円以外に形を変えれば、円下落の影響を和らげられる。特に株式と不動産は、投資先の資産が新たな収益を産む可能性がある。
一つ目のメリットは、円の価値が下落しても資産を守り増やせる可能性があることだ。
メリット2:手間を少なく複数の収入源を持てる
株式は不動産と比べて取引の手間が少ないことがメリットだ。
不動産は現地に足を運んで良い物件を見つけ、最低数百万円の資金を調達し、売買契約を結ぶ。その後も集客や物件のメンテナンスなど、居住者やエージェントとのやりとりが必要だ。物件選びを間違っても売る手間がかかるので、最初に失敗するとやり直しが難しい。
物件選びの目利きで大家業に興味のある方は、不動産投資の方が資産額を増やすスピードは早そうだ。そうでない普通の会社員にとっては、株式の方が投資対象としやすい。
株式投資は数万円から始められる。最初の証券口座開設はほぼネットで完結するので、普段の仕事に比べ大した手間ではない。
銘柄選びとタイミングは難しいが、株式投資の一番面白いところでもある。判断を誤れば、売却して方向転換できるし、良い銘柄を見つければ買い増しも容易だ。
配当のある銘柄を増やせば二つ目の定期的な収入源ができる。このことは人生の選択肢を増やしてくれる。二つ目のメリットは、少しの手間で配当収入という二つ目の収入源を作れることだ。
メリット3:本業と投資、相互に良い影響を得られる
会社員は本業があるので、日中の値動きで利益を得る取引はできない。短くて数日後、長ければ数年後の値上がりとその期間の配当収益を得ることが王道となる。
そのため、投資先の銘柄を選ぶには、IR資料をもとに事業の強みや弱み、将来の成長性、安定性などを予想する。
会社員は、会計の専門家でなくても”棚卸資産”など、勤務先を例に具体的にイメージしやすい。「社員100人なら人件費10億円」、「この業態で売り上げ20%減は厳しい」など数字の感覚も持ちやすい。
また、自分の業界について実務を通した現場での景況感を持てる。内部情報に基づく取引は避けた上で、独自の視点で魅力的な銘柄を見つけたり、見切りをつけられるのはメリットだ。
逆に、株式投資で得た知識は本業にも役立つ。興味を持って株式投資を続けると、知らなかった業界や、世界経済、金融の知識が広がる。その知識は本業を取り巻く環境とどこかで繋がる。
判断業務で視点が広がる、投資で知ったサービスを新企画に応用する、他業種の方との会話のネタになる、など思わぬ場面で役に立つ。
三つ目のメリットは、本業の経験が株式投資に活き、株式投資の経験が本業に活きることだ。
株式投資のデメリット
デメリットは、株価が下がる可能性があることだ。
”投資”は不確実性のリスクを負うことによってリターンを得る。必然的に損失も発生するので、損失を最小化し、利益を増やすよう銘柄選びと売買タイミングの判断を繰り返す。
会社員としての本業に主軸をおいて余裕資金で投資する限り、判断を多少誤っても生活は脅かされない。失敗を活かしながら投資を続ければ判断の精度も上がる。いずれ資産を増やせるようになる。
新しく株式投資を始める手順
恵まれた投資環境を意識する
日本市場は時価総額が700兆円を超える世界で2番目に大きな市場だ。
上場する約3,800社の中にはトヨタ、ソニーなど世界的な有力企業も多い。そのような企業の生の情報を母国語で得られるのは、海外投資家に比べて有利な点だ。
日本株以外にも米国やASEAN各国の銘柄や多様な投資信託にもオンラインで投資できる。
米国株が下落するなら日本株を増やす、日米とも高値圏だったら、将来性が期待できるASEAN株を増やすなど、各国の市況に合わせた幅広い選択肢がある。
オンライン証券会社のシステムも優れている。
筆者が他の国で使ったオンライン証券は株価、チャート、板情報だけのシンプルな仕様で、携帯アプリも頻繁にダウンするものだった。日本のオンライン証券は、入出金履歴や、企業情報の詳細、スクリーニング機能など痒いところに手が届く仕様でとても使いやすい。
オンライン証券口座開設
筆者が今から株式投資を始めるとしたら、以下の手順で進める。
- オンライン証券会社選択(比較サイトで比べて気に入ったところならどこでも)
- オンラインで申し込みし、数日後に届く書類に記入して返送
- 預金口座から証券口座にオンラインで入金
- 商品やサービス内容が好きな会社を試しに一単位購入したつもりでお気に入り登録
- 一四半期(3ヶ月)間値動きを観察し、四半期決算の決算書を読んで気持ちが決まったら安いと考えたタイミングで購入
商品分野を選び取引を開始
投資の世界に絶対はないが、鉄則があるとすれば、(1) 自分が理解できないものに投資しない、 (2) 誰かのいうことを鵜呑みにしない、 (3) 予想が外れた最悪のケースを想定し余裕資金で投資する、の三点かと思う。
興味のある商品・サービスや勤務先に係る企業など、初めは少額で、好みに従って銘柄選択を繰り返しているうちに、自分なりの投資方針が定まってくる。
なお、筆者なりの投資の意思決定方法については別の記事に書き出した。
まとめ
以上、日本の会社員が株式投資をすべき3つのメリットを挙げた。
- 円預金は価値が目減りする可能性。投資により資産を守り増やせる。
- 株式は売買の手間が少なく、自分のペースで副収入源にできる。
- 本業の経験を株式投資に活かし、株式投資の経験を本業に活かせる。
一方デメリットとして資産が減る可能性もある。いかに損失を最小化し、リターンを増やすかが株式投資の醍醐味だ。
根拠に基づいて売買し、失敗したらその根拠を振り返って判断を改めることで、判断の精度は上がる。試行錯誤しながら株式投資を続けることで資産増を目指したい。
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