フィリピン高配当株 通信大手GlobeとPLDT

保有銘柄・成績

フィリピン通信業界のおおよそ

フィリピンの携帯電話回線数は1億6千万以上(2020, ITU統計)である。人口のほぼ1.5倍であり、日本の2億回線に迫る水準だ。

海外や国内大都市で積極的に移動して暮らしながら、家族、親戚、友人とのつながりを大切にする文化がから、携帯電話やインターネットへの需要は高い。

携帯電話・インターネットを供給する大手通信会社が大手財閥アヤラグループのGlobe Telecomと旧国営通信会社のPLDTの2社である。

三番手として中国資本のDitoが参入しているが回線数は1千万程度で大手2社には並べず、黒字化はできていない。

いずれも上場企業であり、特に大手2社は配当利回り5%を超える高配当銘柄である。特に割安とは言えないが、参入障壁の高い基幹産業であり今後の人口増と個人所得増により市場は成長が期待できる。

また特色として大手2社が同国のキャッシュレス決済の主要プレイヤーとなっている。

GLOBE Telecom(GLO)

大手財閥アヤラグループの中核企業の一つ。売上はPLDTに続く2番手だが、携帯電話回線数とキャッシュレス決済サービスではPLDTを上回り、国内首位である。

2021年の売上は1,515億ペソ、うち携帯電話が778億ペソ家庭向けブロードバンドが294億ペソ。純利益は237億ペソで配当は144億ペソ。

GLOBEの子会社が運営するGCASHはフィリピンで最も使われているキャッスレス決済システムである。加入者数は5,500万人、一日のアプリへのアクセスが2,300万回、一日の決済件数が1,500万件。

筆者が使った感想として機能は大変優れている。アカウントは自社他社問わずに携帯電話番号に紐づけて開設できる。個人アカウント間での現金送金が容易で、公共料金やアパートの家賃等も支払い可能。

小売や飲食店では店頭のQRコードを読んで金額を手打ちするか、金額入りのQRコード表示機を読んで支払える。更に近い将来GCASHのアカウントから株式も購入できるようになる模様。使い勝手の良さから日本でも普及して欲しいと思う。

ライバルPLDTの費用はPay Mayaやクレジットカード、店頭でないと支払いできない。Pay MayaはGCASHほどの汎用性がない。また複数回線を契約した場合も回線ごとに都度支払いが必要である。

GLOBEはブロードバンドを含めた複数の契約を一つのアプリに名寄せしてそこから直接GCASHで支払い可能である。CASHの利便性がGLOBE躍進に一役買っているといえるかもしれない。

個人的には売上もGLOBEが首位を取る日が来るのではと予想している。約1年前の2021年8月までは2,000ペソ前後のボックス相場だった。その後2021年の年末にかけ2,000ペソから3,600ペソまで急騰。

2022年1月に購入を考えた時は、3,200ペソ近辺で割高と考えた。その後22年8月までかけて2,100ペソ前後に下がってきた。2020年1,500ペソ、2021年1,800ペソ、2022年1,900ペソと底値を切り上げてきており2,000ペソを下値抵抗線とみなして購入を決めた。

配当はPLDTと同様に安定。2018年91ペソ、2019年91ペソ、2020年107.99ペソ、2021年104ペソ、2022年も104ペソの見込み。

PLDT (TEL)

PLDTは固定電話事業を祖とする旧国営企業。大手財閥のMetro Pacific Investments(MPI)の傘下企業である。日本のNTTも20%の株主となっている。

2021年12月末の携帯電話回線数は7,100万件、ブロードバンド回線数は390万件。

2021年の売上は1,821億ペソ。内訳は個人向け回線が862億ペソ、家庭向け回線が478億ペソ、企業向けが480億ペソ。

純利益が302億ペソ、一株利益は140ペソで配当性向が60%、84ペソの年間配当だった。ネットデット/エクイティレシオを管理指標にしており1.84倍。

なお時価総額は2022年3月末時点で約4,000億ペソ。

通信事業以外にキャッシュレス決済サービスのPay Mayaを展開し加盟者数が4,400万人である。

約1年前に2021年の8月中旬〜9月中旬の一ヶ月間で1,240〜1,720まで約500ペソの急騰だった。その後はボックス相場で特に売り・買いのシグナルを見出すことはできない。

配当も安定している。2018年、64ペソ、2019年、72ペソ、2020年78ペソ、2021年82ペソ、2022年は28ペソの特別配当込みで117ペソと増配中。

取引記録

GlobePLDT
2021202220212022
売上1,523億ペソ1,580億ペソ1,821億ペソ1,901億ペソ
利益237億ペソ346億ペソ264億ペソ105億ペソ
配当
携帯回線数8,680万7,122万6,630万
ネット回線数3,952万3,992万
キャッシュレス
決済利用者
GCash
5,500万口座
GCash
7,600万口座
MayapayMayapay
取引歴9月2,156ペソ購入
10月1,680ペソ
第三者割当増資
9月1,677ペソ
購入
10月1,597ペソ
購入

なお、筆者は三番手のDitoも一時期保有した。2022年1月に5.34ペソで購入しその後継続的に値下がり。9月に3.6ペソと33%マイナスで損切りをした。

まとめ

配当性向が50〜60%と高いので新規設備投資が少し心配であるが、保有を続けて配当収益を得られることは魅力である。

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