新興国高配当株 フィリピン通信大手PLDTとGLOBE

保有銘柄・成績

フィリピンの大手通信会社PLDTとGLOBEの二社は、いずれも配当利回り5%を超えています。購入検討にあたり関連情報を調べました。

まず、通信業界のおおよその規模をつかみます。

少し古いですが2019年のフィリピンGDPは3,768億ドル、50ペソ/ドルでペソ換算すると18兆8,400億ペソです。同年の携帯電話業界の売上は2,335億ペソでGDPの1%強です。

2014年の携帯回線数は人口1.1億人に対し1億3千万回線、同年の日本では人口1.2億人に対し1億5千6百万回線だったので普及率はほぼ同等です。

2014年の事業者内訳は以下の通りでした。

1位:業界最大手のPLDT 70百万件

2位:GLOBE Telecom 44百万件

3位:ABS CBN 15百万件

ただし3位は携帯電話から撤退し、現在DITOが回線数9百万件で3番手となっています。旧国営の最大手と2番手、そして新興の3番手が市場を占める構造は日本と似ています。

また特色として大手2社が同国のキャッシュレス決済の主要プレイヤーとなっています。

最大手 PLDT (TEL)

PLDTは固定電話事業を祖とする旧国営企業です。大手財閥のMetro Pacific Investments(MPI)の傘下企業です。日本のNTTも20%の株主となっています。

2021年12月末の携帯電話回線数は7,100万件、ブロードバンド回線数は390万件です。

2021年の売上は1,821億ペソです。内訳は個人向け回線が862億ペソ、家庭向け回線が478億ペソ、企業向けが480億ペソです。

純利益が302億ペソ、一株利益は140ペソで配当性向が60%、84ペソの年間配当でした。ネットデット/エクイティレシオを管理指標にしており1.84倍です。

なお時価総額は2022年3月末時点で約4,000億ペソです。

通信事業以外にキャッシュレス決済サービスのPay Mayaを展開し加盟者数が4,400万人です。

約1年前に2021年の8月中旬〜9月中旬の一ヶ月間で1,240〜1,720まで約500ペソの急騰でした。その後はボックス相場で特に売り・買いのシグナルを見出すことはできません。

特に割安とは言えませんが、参入障壁の高い基幹産業であり今後の人口増と個人所得増により市場は成長が期待できます。

配当も安定しています。四半期配当銘柄です。2018年、64ペソ、2019年、72ペソ、2020年78ペソ、2021年82ペソ、2022年は28ペソの特別配当込みで117ペソと増配中です。

二番手 GLOBE Telecom(GLO)

大手財閥アヤラグループの中核企業です。2021年末の携帯電話回線数は8,680万とPLDTを上回っています。

2021年の売上は1,515億ペソ、うち携帯電話が778億ペソ家庭向けブロードバンドが294億ペソです。

純利益は237億ペソで配当は144億ペソです。

GLOBEの子会社が運営するGCASHはフィリピンで最も使われているキャッスレス決済システムです。加入者数は5,500万人、一日のアプリへのアクセスが2,300万回、一日の決済件数が1,500万件です。

筆者が使った感想として機能は大変優れています。アカウントは自社他社問わず携帯電話番号に紐づけて開設できます。個人アカウント間での現金送金が容易です。公共料金やアパートの家賃等も支払い可能です。小売や飲食店では店頭のQRコードを読んで金額を手打ちするか、金額入りのQRコード表示機を読んで支払えます。お店の携帯のアカウントで受け付けてくれることもあります。更に近い将来GCASHのアカウントから株式も購入できるようになる模様。使い勝手の良さから日本でも普及して欲しいと思います。

ライバルPLDTの費用はPay Mayaやクレジットカード、店頭でないと支払いできません。Pay MayaはGCASHほどの汎用性がありません。また複数回線を契約した場合も回線ごとに都度支払いが必要です。

GLOBEはブロードバンドを含めた複数の契約を一つのアプリに名寄せしてそこから直接GCASHで支払い可能です。CASHの利便性がGLOBE躍進に一役買っているといえるかもしれません。個人的には売上もGLOBEが首位を取る日が来るのではと予想しています。

約1年前の2021年8月までは2,000ペソ前後のボックス相場でした。その後2021年の年末にかけ2,000ペソから3,600ペソまで急騰しました。

約1年前の2021年8月までは2,000ペソ前後のボックス相場でした。その後2021年の年末にかけ2,000ペソから3,600ペソまで急騰しました。

2022年1月に購入を考えた時は、3,200ペソ近辺で割高に思い買いませんでした。その後22年8月までかけて2,100ペソ前後に下がってきています。

下降トレンドにも見えますが、2020年1,500ペソ、2021年1,800ペソ、2022年1,900ペソと底値を切り上げてきており2,000ペソを下値抵抗線とみなして購入を決めた次第です。

配当はPLDTと同様に安定しています。2018年91ペソ、2019年91ペソ、2020年107.99ペソ、2021年104ペソ、2022年も104ペソの見込みです。

三番手 DITO(DITO)

第3の勢力として2021年3月から携帯電話サービスを開始しています。

株価は2021年7月の携帯電話事業参入許可後に急騰し、3ペソから2021年の2月には19ペソの高値をつけました。ただ2021年の3月には8ペソまで急落、その後はコンスタントに値下がりしました。

取引記録

購入:DITO(2022/1)

5.34ペソで購入しその後継続的に値下がり。今振り返ると、典型的な下降トレンドでそもそも初めから買ってはいけないチャートでした。

売却:DITO(2022/9)

3.6ペソで全て売却しました。33%マイナスで損切りをした格好です。事前に収益や配当を調べれば防げた損失です。PLDTとGlobeからの収益でカバーできることを期待します。

購入:GLOBE(2022/9)

配当利回りは5%前後の高配当株として長期保有のため2,156ペソで購入しました。

購入:PLDT(2022/9)

5%を超える配当利回りが魅力で、長期保有を目的に1,677ペソで購入しました。

購入:PLDT(2022/10)

1,597ペソで追加購入

株主割当増資:GLOBE(2022/10)

1,680ペソの株主割当増資の権利を行使

まとめ

配当性向が50〜60%と高いので新規設備投資が少し心配になりますが、保有を続けて配当収益を得られることは魅力です。

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