光学機器大手 キヤノン(7751)の将来性

日本株

なぜキヤノンなのか

キヤノンは、カメラとともにオフィス複合機の大手メーカーとして有名な企業である。筆者も会社員としてオフィスでも在宅勤務中の自宅でもお世話になっている。

ただ最近まで株式を保有する考えはなかった。ペーパーレスが進み携帯カメラの性能が向上する中で成長が鈍化するのではと考えていたからだ。

ところが半導体の製造工程について勉強していて、露光装置を製造していることを知った。光学技術を活かして柔軟に新規ビジネスを広げていることと高配当に魅力を感じた。

直近の業績

2021年12月期

2021年12月期の売上は3兆5,134億円、営業利益は2,819億円で対前年比増収増益だ。自己資本比率は60%と財務も健全で年間配当は100円だった。

地域別の売上高はアジア・オセアニアが8,192億円(23.3%)、欧州が8,949億円(25.5%)、米州が9,688億円(27.6%)、日本が8,304億円(23.6%)と、海外売上が4分の3以上である。

2022年12月期の会社予想は7/26に売上4兆800億円、営業利益3,760億円と上方修正された。これは過去10年で売上が最大だった2017年に並ぶ水準となる。

第三四半期以降の想定為替レートが133円/ドル、138円/ユーロなので、円安が進めば更に上振れする可能性がある。配当は中間60円、期末60円の予想だ。

2007年12月期が過去最大

それでもまだ過去最大の売上だった2007年12月期の4兆4,813億円、営業利益7,566億円には及ばない。この業績を織り込んで2007年6月に上場来高値の7,450円をつけている。

なお、2007年の売上4兆4,813億円の内訳は以下の通りだった。

  • 事務機事業が2兆9,355億円(65%)
  • カメラ事業が1兆1,526億円(26%)
  • 光学機器及びその他が3,931億円(9%)

一方、2021年の売上3兆5,134億円の内訳は以下の通りだ。

  • オフィスや家庭向けのプリンタ類を扱うプリンティングビジネスユニットが1兆9,388億円(55%)
  • 高性能カメラやセキュリティ用ネットワークカメラ、車載カメラを扱うイメージングビジネスユニットが6,535億円(19%)
  • CT、MRI、超音波診断装置や眼科機器などの画像診断装置を扱うメディカルビジネスユニットが4,804億円(14%)
  • 半導体露光装置やFPD露光装置、有機ELディスプレイ製造装置などを扱うインダストリアルその他ビジネスユニットが5,457億円(16%)

14年を経て、事務機とカメラが主要事業であることは変わらないがその比率は下がった。代わって、強みである光学技術を活かした医療機器事業と産業機械の比率が高くなったことがわかる。

複合機と事業の将来性について

筆者が会社員を始めた20年ほど前からオフィスのペーパーレス化という概念があった。実際にタブレットやスマートフォンの普及により紙を使用する機会は減ったかもしれない。

ところが、オフィスでの書類仕事や会議においては依然紙を使っている。紙を使った上で、保存は電子媒体で行うためにスキャンしたりする。

紙を完全に廃止できておらず、今もキヤノンや富士ゼロックスの機械にお世話になっている。ハードコピーの方が閲覧や共有に生理的に適していると言わざるを得ないかもしれない。

今のところ結論として、紙は仕事をする上で、ないよりある方が便利なのだろう。事務機器への需要も思いのほか長く続くかもしれない。

医療機器と産業用装置の個別の製品については、筆者はまだ十分理解できていないところもある。少なくとも強みである光学技術と情報処理を活かして、新しい分野の需要を開拓している点には魅力を感じている。できるだけ長期保有しつつ勉強していきたい。

取引の経緯

購入(2022/9)

半導体露光装置から興味を持ち3.6%の配当利回りと安定性に惹かれて平均価格3,280円で購入した。損切りラインは直近7/6の最安値を下回る3,022円に設定した。

様子見(2022/9/26)

日経平均終値が26431.55で前日比−722.28(−2.66%)と地合いが悪い中、キヤノンも前日比−76(−2.32%)の3,201円だった。損切りラインには達しておらず継続保有した。

売却(2022/10/11)

10/7(金)の米雇用統計で失業者数が予想以下で、利上げ継続観測により米国市場が下落した。連休明け日経平均が26,401.25で-714.86(-2.64%)と地合いが悪い中、キヤノンも前日比-3.04%の3,223円まで下げた。

逆指値を入れていた3,228円を割ったので損切りとなった。しばらく様子を見る。

まとめ

現時点では、事業内容や会社の強み、今後の課題などについて表面的な理解にとどまるが、日本を代表する企業であり株主への還元も魅力である。一旦損切となったが、様子を見てまた購入したい。

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