東南アジアスーパーアプリGRAB(グラブ)の取引記録

検討中・反省中

東南アジアの都市部では主な交通手段は自動車だ。一方で、道路は多かれ少なかれ慢性的に渋滞している。マイカー保有のコストは高く、タクシーやバスの乗車体験は快適ではない。

解決策として、自家用車を持ち込んだ登録運転手による配車サービスが主流となりつつある。東南アジア最大の配車サービス企業がGRAB HOLDINGS Inc(グラブ)である。

グラブの概要

グラブはマレーシア出身のAnthony Tan氏が2012年に創業し、本社はシンガポールにある。2021年12月2日にナスダックに上場し、日本の証券会社から米国株として取引できる。

グラブはAndroidやiPhoneのスマホアプリを通じて配車サービス、フードデリバリー、金融サービスの3つのサービスを提供する。

シンガポール、マレーシア、フィリピン、インドネシア、タイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジアの8カ国400都市でサービスを展開している。

日本ではJapan Taxiと提携、登録顧客はアプリからJapan Taxiの車両を予約、決済できる。

1.配車サービス

登録顧客が、アプリで現在位置と行き先を入力すると、料金が予め計算される。発注すると近くにいる車両持ち込みの認定ドライバーに情報が届き、受託したドライバーは顧客のもとに向かう。

顧客のスマホにはドライバーの評価と車両情報、位置と到着時刻が表示される。料金は乗車時にクレジットカードやアプリ内のウォレットから決済される。

時に粗っぽいこともある流しのタクシーと比べると、車両探しの手間、ドライバーと車両への安心感、行き先と料金の交渉の全ての面で格段に快適であり、一度使うと手放せなくなる。

2.フードデリバリー

同じアプリで、フードデリバリーサービスも利用可能だ。

顧客は、店名や料理名で検索し、写真メニューを基に注文内容を決める。店の近くにいるドライバーが配送を引き受けた時点で注文が確定する。品物を受け取り時に運送費を含む商品代が決済となる。

特に飲食店と集合住宅の多い都市部では輸送効率が良く、顧客からも重宝されている。

3.金融サービス

同じアプリ内のウォレットを使ってキャッシュレス決済サービスや保険、投資などの金融サービスも利用可能だ。

グラブは以上のように、日常生活の複数の場面でサービスを提供する「スーパーアプリ」だ。先行する同業他社としてUberが有名であるが、東南アジア地区ではGrabがUberの事業を買収した経緯がある。

個人的にアプリを使用した印象として操作は直感的だ。加えて会員登録や配車に関わるトラブルシューティングも丁寧で素早く行って頂けた。

登録済みのドライバー、店舗、顧客のネットワークは同社にとって今後も大事な財産だと思う。将来にわたって東南アジアで、個人と物の移動を包括的に助ける生活インフラであり続けると期待できる。

業績と株価

2021年度の売上高は7億ドルで時価総額が95億ドル、PSRが14.09倍、PBRが1.20倍だ。

対してUberは、2021年度の売上が170億ドルで時価総額が490億ドル、PSRが2.84倍、PBRが3.36倍だ。

株価の過去最高値は2021年11月12日の17.15ドル、最安値は2022年5月27日の2.26ドルだ。直近では10月14日に2.39ドルをつけており、過去最安値に迫る価格となっている。

PBRは Uberの1/3と割安な一方で、PSRは5倍だ。Uberと比べて売上が追いついておらず、だからこその安値だと思われる。

登録飲食店を増やすためのプロモーション費用が赤字要因の一つだ。顧客と登録企業の拡大により黒字化が期待できる。

9/27の会社発表では2024年下期にEBITDA(利息償却税引き前利益)の収支均衡を見通しているとのことだ。自己資本比率は7割近い。しばらく赤字に耐えながら、売上を増やすことを期待する。

取引の経緯

時期取引理由取引額実現益売却ライン
2022/10/19-24購入過去最安値近辺で底打ちとみなした、赤字無配だが数年後の値上がりを期待、株価がゼロになっても損失が限定、一方で上昇時は何倍もの利益が期待できるため、リスクに対しリターンが大きいと考えた$2.30$1.20
2022/11/16様子見3Q決算、総流通額(GMV)5,080百万ドル(対前年同期比+26%)、売上382百万ドル(+143%)、損益が-342百万ドル(65%改善)と改善、年間売上見通し12.5-13.0億ドル⇨13.2-13.5億ドルの上方修正、配車セクターに加え配送セクターもEBITDA黒字化$3.20$1.20
2023/1/20様子見売却ライン引き上げ終値$3.68$3.20
2023/2/23利益確定FY22決算、総流通額(GMV)199.37億ドル(対前年比+24%)、売上14.33億ドル(+112%)と見通し13.2-13.5億ドルを上回った。損益が-17.40億ドル(49%改善)と改善。
4Qは配車セクター、配送セクターともEBITDA黒字。自己資本比率は72.0%
取引開始後に株価は8.2%下落、売却ラインを割り込み利益確定となった。
終値$3.21+$1978.20$3.20

まとめ

赤字なのに株式を保有するのは王道ではない。一方で10バガーを狙うには、達成済みの実績ではなく、目に見えていない将来の成長にかける必要もある。

シェアリングエコノミーの時流に乗った企業であるとともに、筆者自身が使用して優れたサービスだと感じたことから投資を決めた。期待感が続く限り保有して様子を見たい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました