高配当で値動きの大きい景気敏感株
BHPは銅、鉄、ニッケル、石炭などの鉱山を北米、南米、オーストラリアに持つ世界最大手の鉱山会社だ。NY証券取引所にADRとして上場し日本の証券会社からも売買できる。
鉱物資源価格は景気により大きく変動する。数年で5倍になることも珍しくない。BHPは業績が資源需要変動に直結する景気敏感株といえる。配当と値動きの大きい株だ。
需要変動に対応して生産するには、タイミングに合った大きな設備投資が必要である。カントリーリスク、安全環境、法令遵守の面でもノウハウが必要なことから参入障壁の大きい業界だ。
そんな業界でBHPは1885年から続いている。経営陣は鉱山エンジニアリングに造詣が深く博士号を持つことも珍しくないようだ。
需要が周期的に変動しても、世界のどこかで工業が続く限り資源需要がゼロになることはない。BHPの事業が持続する可能性は高いと考えられる。
株価と資源価格の関係
時期 | 株価 | 業績 | 資源価格 |
2011年4月 | 過去最高値104ドル | 2011年6月期売上717億ドル、純利益217億ドルを先取り | 2011年平均鉄鉱石168ドル、銅8,800ドル、石炭121ドル、原油95ドル |
2016年 | 直近の最安値18ドル | 2016年6月期売上310億ドル、64億ドルの赤字 | 2016年平均鉄鉱石56ドル、銅5,500ドル、石炭66ドル、原油49ドル |
2021年5月 | 直近の最高値82ドル | 2021年6月期売上591億ドル、純利益137億ドル | 2021年平均鉄鉱石161ドル、銅9,300ドル、石炭138ドル、原油68ドル |
2011年と2021年:鉄鉱石160ドル、銅9,000ドル、石炭120ドル以上の高値圏>>>株高
2016年:鉄鉱石が56ドル、銅が5,500ドル、石炭66ドルの安値圏>>>株安
株価は、特に鉄鉱石・銅・石炭価格との相関が強いようだ。個人的には資源価格が業績と株価に反映されると理解している。
筆者の取引内容
筆者は底値付近で購入し、数年間配当を得た上で、天井付近で売却した。理想的な取引だったが、全て運任せである。少しでも再現できるよう、次にいつ買うか考えたい。
時期 | 取引 | 経緯 |
2016年1月 | 21.4ドルで購入 | きっかけは覚えていないが歴史的には底値だと考えた。たまたま興味を持ったのは幸運でしかない。 |
2022年3月 | 72.8ドルで売却 | 2021年5月82ドルから下がり始め、売り時かと思い始めた。70ドルを超えて回復したところでピークは過ぎたと判断 |
次にいつ買うか
1. 直近の資源価格と株価
時期 | 株価 | 業績 | 資源価格(月平均) |
2022/9/30 | 50ドル | 2022年6月期売上651億ドル、純利益224億ドル | 鉄鉱石100ドル、銅7,700ドル、石炭430ドル、原油84ドル |
2022/10/31 | 47.8ドル | 〃 | 鉄鉱石93ドル、銅7,700ドル、石炭390ドル、原油87ドル |
2022/11/30 | 62.8ドル | 〃 | 鉄鉱石93ドル、銅8,000ドル、石炭340ドル、原油85ドル |
2022/12/30 | 62.1ドル | 2022年12月中間期速報 前年同期比 銅12%増産、単価19%減、鉄鉱石2%増産、単価25%減、原料炭5%増産、単価3%増、燃料炭24%減産、単価157%増 | 鉄鉱石111ドル、銅8,400ドル、石炭380ドル、原油77ドル |
2023/1/23 | 69.38ドル | 〃 | 他データなし |
資源価格を過去と比較すると、鉄鉱石は100ドル前後の中間値だ。銅は再び8,000ドルを超え高値圏に向かい、石炭は過去に類を見ない高値圏である。
資源別にまちまちの動きをしながら総じて高値圏である。そして生産量と単価も前年同期比でまちまちの動きである。一方、株価は一旦50ドルを割った後70ドル近辺まで戻している。
つまり、資源価格、業績、株価とも高値圏であるが方向性ははっきりしない。米国、各国の緩和縮小により、今後、需要の低下が起こる可能性もある。その場合は資源価格、株価とも下落するだろう。
筆者は今はまだ買い時ではないと思う。
2. いつ頃買いたいか
もちろん景気後退が起こらない可能性もある。未来のことは分からないが、筆者個人としては景気は数年単位で循環するとの仮説に基づいて、数年のうちに資源価格が下落すると予想する。
鉄鉱石、銅、石炭がいずれも下落し、安値圏で安定するタイミングを待ちたい。
具体的には、2016年の安値圏を参考に、鉄鉱石が60ドル、銅が6,000ドル、石炭が60ドル、年間売上400億ドル、株価30ドルを下回ることを目安とする。
併せて、減配はあっても、配当が継続していることも確認する。そうすれば高配当と高成長を両立した取引になると期待できる。
上記の通り2011年高値、2016年安値、2021年高値と5年毎に高値と安値を繰り返している。素直に考えると次の安値は2026年頃になりそうだ。
また、同業のリオ・ティント社も事業内容や株価動向が似ている。次回購入時は併せて検討したい。
まとめ
BHPは構造的に株価が循環的に上下しやすく好業績時は高配当である。安値で購入し保有すれば、配当の累積で元を取り、かつ高値の時に売却した分を丸々収益にできる。長期投資の対象として魅力的だ。
現在の株価はまだ高値圏だと言える。過去10年の動向にならうと仮説として2026年頃に底値をつけそう。銅・鉄鉱石・石炭価格が低水準であることを確認して購入したい。購入時には記事を更新する。
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