フィリピンの財閥 Ayala(アヤラ)の将来性

外国株

Ayala(アヤラ)は1834年設立の醸造所に始まるフィリピン最古の財閥です。共同創業者のスペイン出身Ayala氏9代目Fernando Zobel de Ayala氏が現在のトップを務めます。連結従業員数は117,900人、アジア・欧米各国に拠点を持ちます。

持株会社Ayala Corporation(AC)をはじめ中核事業の不動産開発Ayala Land(ALI)およびAyala Reit(AREIT)、フィリピン3位の銀行BPI、フィリピン2番手の通信会社Globe Telecom(GLO)、再生エネルギー発電に旺盛に取り組むAC Energy(ACEN)などの連結各社がフィリピン証券取引所に上場しています。

Annual Report Dec 31, 2021

アヤラ・コーポレーション(AC)

AC株は持株会社として業績と配当が安定的なので、長期保有銘柄として魅力的です。

株価配当利回りPER時価総額
2023/1/27750php0.9%14倍4,643億php
2023/5/17684php1.0&14.8倍4,062億php

Ayala Land(ALI)、Ayala REIT(AREIT)

中核事業として都市を丸ごと造るような不動産開発を行います。ALIは2023年1月27日時点で32.9ペソ、配当利回りが0.8%、PER29倍。

本拠地Makatiは第二次大戦後に金融街として発展しました。Ayala Center一帯には大手行、保険会社、欧米のハイブランド店が並ぶモールやペニンシュラなどの高級ホテルが並びます。清掃は行き届き、私設警備会社が治安を守ります。首都鉄道Ayala駅がモールに隣接します。

外国人が住むのに便利な流行最先端の街がBonifacio Global City(BGC)です。欧米投資銀行の高層ビルや高級コンドミニアム、フィリピン証券取引所、インターナショナルスクール、日本人学校もあり、六本木のイメージです。シャングリラやグランドハイアットなどの高級ホテル、無印良品、ユニクロ、丸亀製麺など日系店舗も充実、2022年には三越伊勢丹も開店しました。

Makati、BGCともニノイアキノ国際空港から数km、車で20分程とアクセス良好です。商業機能が集中し清潔で治安が良い、国内外の人々と富を魅きつけます。

ALIが開発した企業向け賃貸物件もAyala REITとして上場しています。AREITは2023年1月27日時点で35.9ペソ、配当利回りが5.5%、PER14.8倍。

Bank of Philippine Islands(BPI)

BPIはアヤラグループの主力行です。1851年創業した東南アジアで最初の銀行です。2022年9月時点で、2.5兆ペソとフィリピンで第3位の資産規模を誇ります。

フィリピン中央銀行

2023年1月27日時点で110.1ペソ、配当利回りが1.9%、PER14.0倍。

GLOBE Telecom(GLO)

フィリピンの携帯電話回線数は1億6千万以上(2020, ITU統計)です。海外や国内大都市で働きながら故郷の家族、親戚、友人とのつながりを大切にする文化から通信サービスへの高い需要があります。参入障壁の高い基幹産業であり今後の人口増と個人所得増により市場は成長が期待できます。

携帯、インターネット、キャッシュレス決済サービスプロバイダーとしてGlobeと旧国営PLDT(TEL)が二強です。総売上はPLDTが首位ですが、携帯回線数とキャッシュレス決済サービスはGLOBEが国内首位です。

GLOBEPLDT
20222022
売上(対前年比)1,580億ペソ(+3.7%)1,901億ペソ(+4.9%)
利益(対前年比)346億ペソ(+46.0%)105億ペソ(-60.2%)
携帯回線数86.7百万66.3百万
ネット回線数2.6百万4.0百万
キャッシュレス
登録者
GCASH 76百万
(21年は55百万)
Pay Maya –
(21年は44百万)
取引歴9月2,156ペソ買
10月1,680ペソ
第三者割当増資
9月1,677ペソ買
10月1,597ペソ買

GLOBEの子会社が運営するGCASHはフィリピンで最も使われているキャッスレス決済システムです。他社回線を含め携帯電話番号に紐づけて開設でき、個人間の送金が容易、公共料金や家賃等も支払い可能です。小売や飲食店の店頭ではQRコードを読むか、端末に読ませて支払い可能です。手軽で、汎用性の高いキャッシュレスシステムです。

2022年1月購入検討時の3,200ペソ近辺から22年8月に2,100ペソ前後に下がってきました。2020年1,500ペソ、2021年1,800ペソ、2022年1,900ペソと底値を切り上げてきており2,000ペソを下値抵抗線とみなして購入を決めました。

配当はPLDTと同様に安定。2018年91ペソ、2019年91ペソ、2020年107.99ペソ、2021年104ペソ、2022年も104ペソの見込み。配当性向が50〜60%と高いので、新規設備投資の余力は心配ですが配当収益は魅力です。

ACエナジー(ACEN)

発電会社のACエナジーは、火力発電、太陽光、風力、地熱発電をフィリピン国内で行います。エネルギー源を輸入に頼り、原子力発電の実用化にも時間を要する中で国益に関わる事業です。

国外ではオーストラリア、米国、インドでの太陽光発電、ベトナムでの風力発電、インドネシアでの地熱発電と、海外各地でも再生エネルギー発電への投資を拡大中です。

2021年度の発電能力は、再生可能エネルギーが490MW、火力が540MW、合計1.03GW。2022年9月時点では、再生可能エネルギーが3,700MW、火力が340MW、合計4.04GWまで急進しました。

株価は2023年1月27日時点で7.39ペソ、配当利回りが0.81%、PER50倍。

まとめ

アヤラは、強力な不動産事業を中心に、金融、通信、インフラ、エネルギー、ヘルスケア、フィンテックと幅広くフィリピンの経済産業に事業展開するフィリピンを代表するコングロマリットです。

気になる点は、資本関係が複雑で親子上場もしており業績と株主還元の関係が分かりずらいことです。

今後1.1億人の若者による旺盛な消費が予想される国内市場を中心に、長期的で安定した成長が期待できそうです。2022年度はグループ主要企業は軒並み増収増益でした。

社名と特色2021年売上/利益(億ペソ)2022年売上/利益(億ペソ)AC持分
Ayala Corporation(AC)
【グループ持株会社】
2,558/ 3603,066/ 459 (増収増益) ー
Ayala Land(ALI)
【中核のデベロッパー】
1,061/ 1221,244/ 186(増収増益)46.3%
AREIT Inc. (AREIT)
【ALI子会社のREIT】
33/ 2251/ 34 (増収増益)
Bank of Philippine Islands(BPI)
【国内2位の銀行】
974/ 2391,185/ 396(増収増益)48.5%
GLOBE(GLO)
【国内最大手通信】
1,523/ 2371,580/ 346(増収増益)30.8%
AC Energy(ACEN)
【再生エネルギー】
260/ 53403/ 46 (増収増益)64.7%

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