Ayala(アヤラ)グループは1834年設立の醸造所に始まるフィリピン最古の財閥です。
共同創業者であるスペイン出身Ayala氏の9代目Fernando Zobel de Ayala氏が現在のトップを務める。
従業員数はグループ連結で117,900人、北米、中米、欧州、中東、インド、東南アジア、中国、日本に拠点を持ちます。
アヤラ・コーポレーション(AC)
持株会社アヤラ・コーポレーション(AC)が傘下企業に出資しています。

AC株は割安ではありませんが持株会社として業績と配当が安定的なので、長期保有銘柄としては魅力的です。
株価 | 配当利回り | PER | 時価総額 | |
2023/1/27 | 750php | 0.9% | 14倍 | 4,643億php |
2023/5/17 | 684php | 1.0& | 14.8倍 | 4,062億php |
傘下には、フィリピン経済で主要な役割を果たす上場会社があります。
グループ本拠地の商業都市Makatiを開発した不動産Ayala Land、フィリピン最古で2位の大手行BPI、通信最大手GLOBE、再生エネルギー発電ACエナジーなどです。
Ayala Land(ALI)、Ayala REIT(AREIT)
中核事業として都市を丸ごと造るような不動産開発を行っているのがAyala Land(ALI)です。ALIは2023年1月27日時点で32.9ペソ、配当利回りが0.8%、PER29倍。
本拠地Makatiは第二次大戦後に金融街として発展しました。Ayala Center一帯には大手行、保険会社、欧米のハイブランド店が並ぶモールやペニンシュラなどの高級ホテルが並びます。
清掃は行き届き、私設警備会社が治安を守ります。首都鉄道Ayala駅がモールに隣接します。
Makatiと同様、外国人が住むのに便利な街として有名なのが同じくAyalaが開発したBonifacio Global City(BGC)です。
BGCは流行最先端の街でもあります。シャングリラやグランドハイアットなどの高級ホテル、無印良品、ユニクロ、丸亀製麺など日系店舗も充実、2022年には三越伊勢丹も開店しました。
欧米の投資銀行の巨大なビルや外国人向け高級コンドミニアム、フィリピン証券取引所や日本人学校、インターナショナルスクールもあり、六本木のイメージです。
Makati、BGCともニノイアキノ国際空港から数km、車で20分程とアクセス良好です。商業機能が集中し清潔で治安が良い、国内外の人々と富を魅きつけます。
ALIが開発した工業団地やオフィスビルなど企業向けの賃貸物件はAyala REITとして上場します。AREITは2023年1月27日時点で35.9ペソ、配当利回りが5.5%、PER14.8倍。
Bank of Philippine Islands(BPI)
BPIはアヤラグループ傘下の大手銀行で、アヤラグループの主力行です。1851年創業した東南アジアで最初の銀行です。2022年9月時点で、2.5兆ペソとフィリピンで第3位の資産規模を誇ります。

2023年1月27日時点で110.1ペソ、配当利回りが1.9%、PER14.0倍。
ACエナジー(ACEN)
発電会社のACエナジーは、火力発電、太陽光、風力、地熱発電をフィリピン国内で行います。エネルギー源を輸入に頼り、原子力発電の実用化にも時間を要する中で国益に関わる事業です。
国外ではオーストラリア、米国、インドでの太陽光発電、ベトナムでの風力発電、インドネシアでの地熱発電と、海外各地でも再生エネルギー発電への投資を拡大中です。
2021年度の発電能力は、再生可能エネルギーが490MW、火力が540MW、合計1.03GW。2022年9月時点では、再生可能エネルギーが3,700MW、火力が340MW、合計4.04GWまで急進しました。
株価は2023年1月27日時点で7.39ペソ、配当利回りが0.81%、PER50倍。
まとめ
アヤラは、強力な不動産事業を中心に、金融、通信、インフラ、エネルギー、ヘルスケア、フィンテックと幅広くフィリピンの経済産業に事業展開するフィリピンを代表するコングロマリットです。
気になる点は、資本関係が複雑で親子上場もしており業績と株主還元の関係が分かりずらいことです。
今後1.1億人の若者による旺盛な消費が予想される国内市場を中心に、長期的で安定した成長が期待できそうです。2022年度はグループ主要企業は軒並み増収増益でした。
社名と特色 | 2021年売上/利益(億ペソ) | 2022年売上/利益(億ペソ) | AC持分 |
Ayala Corporation(AC) 【グループ持株会社】 | 2,558/ 360 | 3,066/ 459 (増収増益) | ー |
Ayala Land(ALI) 【中核のデベロッパー】 | 1,061/ 122 | 1,244/ 186(増収増益) | 46.3% |
AREIT Inc. (AREIT) 【ALI子会社のREIT】 | 33/ 22 | 51/ 34 (増収増益) | ー |
Bank of Philippine Islands(BPI) 【国内2位の銀行】 | 974/ 239 | 1,185/ 396(増収増益) | 48.5% |
GLOBE(GLO) 【国内最大手通信】 | 1,523/ 237 | 1,580/ 346(増収増益) | 30.8% |
AC Energy(ACEN) 【再生エネルギー】 | 260/ 53 | 403/ 46 (増収増益) | 64.7% |
コメント